ストーリー
なんとかしたくてもしようがない。
自分は一生これを抱えていくのかと、諦め混じりに新たな春を迎えたときだった。
『あいつ』が、目の前に現れた。
どうやら向こうは俺を知ってるみたいだ。
けど……俺はこんな得体の知れない女に見覚えはない。
はじめてのはずだ。
会ったことがあったら忘れるはずがない。
ただ、彼女は苦しげに顔をゆがめていた。
「……もう、我慢できなかった」「おまえが好きでおかしくなるところだった!」――どういうこと?「消えないんだよ。
何年経っても」「ワタシの中で、熱く、強く、脈打ち続けてた」「おまえのことが好きだって」「大好きだって」「苦しいくらいに」「苦しいんだよ」「もう、耐えられないくらいに」「ワタシはおまえのことなんか好きでもなんでもないはずなのに」「好きすぎておかしくなりそうだから――」「ワタシは決めた。
だから、丹生清澄。
おまえも決めるんだ」「おまえは、どうするのか――――」