ストーリー
幼い頃過ごした土地とはいえ――だからこそ、どこか暗澹たる気持ちを抱えていた。
しかしその言いようのない気持ちは、幼い頃に同じ時を過ごした牧野帆乃波と再開したことで和らいでいく。
転入直後から起こる各部活の勧誘をかわすために、クラスメイトの帆乃波たちに誘われ、一時的に彼女たちと同じ部活に所属することを決める。
その部活は‘‘家族部’’。
部員が集まり擬似的な家族を体験する物だった。
そこには妹と見間違えるほどよく似ている後輩水月瑠菜や、部を創設した先輩芙瑠池扇が一祈を出迎えてくれた。
一祈に遅れて転入してきたみそらや生徒会長の天羽美景を交えた学園生活は、一祈の想像していた以上に楽しい物だった。
クラスメイト結城優希や元気な後輩芹沢涼々を含めた7人の部活は、『互いが互いの家族になる』という、今ひとつ理解の出来ない活動内容ではあったが、幼い頃に家族を亡くした過去を持つ一祈は戸惑いを覚えつつも、親しい人が傍にいてくれるという居心地の良さに心を和ませていく。
互いが互いの親に、兄妹に、子に――欲しかった家族の形を補い合い、心を通わせていく。
同じ時間を過ごす度に、心を癒していく。
そしていつしか、彼女たちが大切な存在になっていくのだった。
まるで、本当に‘‘家族’’のように。