ストーリー
どこかの屋台のおでん屋。仕事帰りの主人公・黒川重春とおでん屋のオヤジが、酒を酌み交わしながら昔話に花を咲かせている。
どこにでもある郊外の、ありふれた夜の光景。
だがひとつだけ違うのは、重春とオヤジは、かつて世界征服を企む悪の秘密組織の一員だったという事だ。
「だけど本当、あとちょっとでしたよねぇ博士、世界征服」
「博士はやめてくれ、今はただのおでん屋のオヤジだ……まったく、アイツらさえいなけりゃなぁ」
十五年前、二人はそれぞれ下っ端戦闘員と悪のマッドサイエンティストとして世界征服のために奔走していた。
しかし彼らの所属していた組織は、魔法の力で戦う年端もいかない美少女たちによって完膚無きまでに壊滅させられ、解体。
世界征服の夢は露と消え、重春は今ではごく普通のしがないサラリーマンとして、悪の道とは無縁の生活を送っているのだった。
(特に、あいつ……)
重春は魔法少女たち、ジャスティス†パイレーツの中でも特に忘れられない一人を思い出す。
パイレーツの中でも特に接近戦を得意としていた、下級戦闘員見習いだった重春をスラリと伸びた足で蹴り倒した魔法少女、「エメラルドパイレーツ」。
まだ○校生になりたてくらいの年頃なのに、凛々しい戦士のくせに、妙に女の色香を漂わせていた、彼女……。
悪の組織でも下っ端の下っ端、戦闘員の見習いになりたてで、まだ少年と言っていいほどの年齢だった当時の重春は、凛々しく美しい彼女に敵でありながら魅力を感じ、一種の憧れに近い感情を抱いていた。
(あの時以来、俺はどんな女を抱いても満足できないでいる……。
あいつを自分の女にできていたら今頃は……なんてバカみたいな妄想が、今でも時々頭に浮かんじまって離れないことがあるんだ……)
「……おい?」
「あ……悪い。
博士、もう一杯」
「博士はやめろ。
深酒は毒だぞ?」
どこかの商店街の花屋。
「うぇ。
飲み過ぎた……」
翌日、安酒の後遺症を抱えて営業に回る重春は、初めて入る商店街で衝撃的な再開を果たす。
「いらっしゃいませー!」
商店街の客たちと親しげに話し活発に立ち働く、魅力的な花屋の女性店員。
(あいつは、まさか……!)
目を疑う重春だが、見間違えるわけもない。
夫と一緒に幸せそうに働く彼女は、かつて重春が戦い、その度に蹴散らされた魔法少女たちの一人。
よりにもよって、重春が秘めた憧れを抱いていたあのエメラルドパイレーツ、優希その人だったのだ。
十五年という年月を経て、より一層色気を増した優希の姿に重春の目は釘付けになる。
どこかの屋台のおでん屋。
「アイツらの一人がなあ……世間は狭いってことだな」
「言ってなかったけど博士、俺、世界征服したその時は、
アイツら魔法少女を思い切り犯りまくって、自分の女に仕込んでやるのが夢だったんすよ……」
酔った勢いでそんな事を漏らす重春の頭の中に浮かんでいるのは、今日偶然に見かけた優希の姿だった。
「博士って言うなって……いや、ちょっと待ってろ」
物陰に引っ込んだオヤジはすぐに戻ってくると、重春に小さな包みを見せる。
「これはな、昔ワシが首領に言われて作った薬なんだが」
悪の組織の首領が戯れに思いついた、‘魔法少女を快楽漬けにして倒す作戦’。
その作戦のために開発した強力な媚薬を重春に手渡す元マッドサイエンティスト。
「作戦を実行に移す前に組織が潰れちまってそれきりよ。
……ま、使うかどうかはお前さん次第だ」
「『魔法少女を必ず快楽漬けにする媚薬』、か……」
かつての野望と、今日一目見て以来焼き付いた優希の魅力的な女ぶりが交互に頭に浮かぶ。
重春は安酒のコップをあおりながら、手渡された小包をポケットにしまった。
「やりますよ、俺。
やってやります。
十五年分、やりまくって今度こそアイツを倒して……」
……そして、アイツを俺の物にしてやる──!
こうして、十五年越しの野望を取り戻した重春のエロ逆襲、元魔法少女人妻ヒロイン痴漢寝取り譚が幕を開けた──!