ストーリー
あるいは経済、市場が原因もわからないくらい長い事混乱していた、のかもしれない。
とにかく世界は全体的に混沌として、薄暗く、貿易なども混乱の最中にあった。
それでも人々は懸命に生きていたし、国自体はぐらついていても、それなりに逞しく、物資も民間レベルでやりとりを続けていた。
そんな物資を運ぶボロ船一隻。
その名も信天翁号(アルバトロス)。
大陸から大陸へ、港から港へ。
扱う品はどうにも素性の怪しいものばかりだが、捌けば大層なお足になる。
そうやってもっぱら癖のある物を扱っているせいか、船員達も一癖二癖ある連中ばかり。
そしてこういう癖のある個性というのは、変梃な事件を招き寄せる。
もとより荒くれたピカレスクロマンに事欠かなかった信天翁号だが、主人公が乗りこんで以来怪事件と遭遇する機会が加速的に増えていく。
それはまだ世界が薄ら暗かった頃の、怪しく騒がしく、そしてどこか物哀しい船と海との物語。
奇妙な船員達が、それぞれの奇癖に振り回され悩みつつ、愉快で楽しい破局へと突入したりしなかったりする物語。
ただし破局から逃れたとしても―――
船員達が戻るのは、結局信天翁号しかないのだった。
やがて主人公は、それぞれに落ち着き先を見出した筈の船員や客達が、何故か戻ってきてしまっている信天翁号で最後の航海に赴く―――
―――なんだ、結局みんな、この船しか居場所がないんじゃあないかッ!?―――