ストーリー
初夏の豪雨の日。
コンビニに逃げ込んだ小海雅孝はイートインで、雨が止むのを待っていた。
ふと気づくと、隣の席に女の子がいた。
彼女が持っていたのは、ジュースでも、ホットスナックでもなくて、鯖の味噌煮の缶詰だった。
しかも、その缶詰を開けて食べだしたのだ。
女の子が! コンビニの! イートインで!鯖の味噌煮の缶詰を!食べるッ!しかも、女の子は鯖の味噌煮の缶詰を食べると、まだ激しく雨が降り続ける外へと平然と出て行ったのだ。
エキセントリックな行動に心を奪われた小海は、彼女と再会した時に質問する。
「どうして、鯖の味噌煮の缶詰を食べたの?」彼女は答える。
「しゅっ、終末の準備の為なんです」彼女は続ける!「いつ来るかわからないから、終末に備えておく必要があると思うんです」彼女はさらに続ける!「あっ、あの終末ってまだ来てないけど、終末のことを書いた作品はたくさんあって。
そういうのを読んだり見たりして、発見したんです」彼女は何を発見したのか?「『少女終末旅行』にも『北斗の拳』にもありましたし『マッドマックス2』でも。
『ザ・ウォーカー』にもありました。
それと『ザ・ロード』と『終末のフール』と『終わりの街の終わり』と『超プロレスファン列伝』でも! 『最終兵器彼女』……あれ? あれはインスタントラーメン?」落ち着け!「『ひとめあなたに……』はどうだったかな? あっ『ポストマン』と『塩の街』はですね、絶対にあると思っていたのになかったんです。
ない系ですね、はい」いや、だから何があったりなかったりするんだ!?「缶詰を食べるシーンです。
終末になると、缶詰を食べるみたいなんです。
だっ、だから、その……。
終末の準備のために、缶詰を食べる練習をしておこうと思ったんです」終末の準備のために缶詰を食べる?「はっ、はい! 終末の準備をしている人は世界中にたくさんいるんです。
そういう人々のことをプレッパーズというんです」──プレッパーズ。
終末を見つめる人々。
これはプレッパーズとなった少年少女達が、終末に立ち向かう物語である
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